02/22
「イタリアへ!」
皆様、こんにちは。藤井隆史です。
2月26日から3日間、2ヶ月ぶりにイタリアへ行ってきます。
今回はおとなしく、ルフトハンザ航空でフランクフルトからミラノまで飛び、その後は電車でジェノヴァを経由して、イタリアン・リヴィエラと呼ばれているリグーリア海岸沿いの街、カモーリへと向かいます。
この海岸、西はフランスの国境から、東は食べ物の美味しいトスカーナ地方まで続く、約250キロにも及ぶ海岸で、一昨年、昨年の夏にこの海辺での海水浴を楽しんだのですが、その美しい海岸の景色とは裏腹に、岩場が大変多く、裸足で泳ぐと必ず足の指のどこかが切れていて、非常に危険でもありました。また日本の海よりも塩分が強く、海水の味も違うのかぁと一人で感心していたものです。
なぜ今回、ルフトハンザで飛ぶのが、「おとなしい」のかというと、マンハイムは、旅行に非常に便利なロケーションにあり、ここからイタリアへ行くには、いくつかの手段があるのです。
まずは、ドイチェ・バーン(ドイツ鉄道。頭文字をとってDBと呼ばれることも多いです)のNachtzug(夜行電車)で、ミラノやフィレンツェまで向かい、その後も目的地まで電車に揺られるというものです。1〜3人用個室もありますが、僕はきちんと横になって寝られればいいので、6人用の寝台車で。お望みなら、座ったままミラノまで8時間、という手もあります・・・。
寝台車は、老若男女はもちろん、いろいろな言語も入り混じり国際的ですが、これまで数え切れないほどの寝台経験の中、となりの危険な人が気になって仕方がない、誰かがうるさくて、または電車が揺れすぎて寝られないということもなく、普段寝つきの悪い僕でもコテッと寝られてしまうのは、寝台で行く楽しみのひとつです。
日本国内よりもいろいろな国の、様々な状況、環境下で生きている方々の多いヨーロッパで、見知らぬ人と同じ寝台で寝るわけですから、初めは少々不安でしたが、どうやら同乗の皆さんも同じ心境のようで、寝台に乗る者同志として、どこかお互いを信用している空気があるように思えます。また、ドイツとスイスの国境(そこでは僕は熟睡中)と、スイスとイタリアの国境にあたるキアッソで、警察の見回りと、麻薬犬が荷物をくんくん、しに来るので、安心して朝を迎えることができます。
寝台車はここしばらくご無沙汰していますが、朝起きたときに、ドイツとは明らかに違う、少しごちゃごちゃとした感じのイタリアの街の風景を見るたびに、ああ、電車1本でまた来たんだなあ!と感動しますし、寝台ベッドの狭さや、国や歴史、言葉を越えてあらゆる国の人々を乗せて走る、寝台車ならではの独特の空気を、ふと想い出すこともあります。
寝台車の気分ではない時は、日中にEC(ユーロシティ。ヨーロッパ各国の国境を越えて走る国際特急電車です)などを乗り継ぐ、という手もあります。
天気が良くても悪くても、スイスの、心が洗われるように美しい山々の景色が眺められ、それを楽しみに何度も利用しましたが、一人「世界の車窓」ごっこにも少々飽きてしまい、本も読み終えてしまって、しかも寝られない、となった時には、「自分は永遠に電車に乗っているのではないか・・」と急につらくなり、こちらも今ではご無沙汰です。
最近僕が好んで使うのは、超格安航空として日本でもご存知の方はいらっしゃるでしょうか、ライアン・エアー(Ryan air)で飛ぶというものです。
ちなみにこのライアン・エアーは、イタリアのみでなくヨーロッパ各国へも飛んでいます。
時々サイトwww.ryanair.comで「どこどこ行き。今なら0(ゼロ)ポンド!!」(イギリスを本拠地としていますので通貨はポンドです)というキャンペーンをしており、よく読んでみると税金などが加算されていくのですが、例えばマンハイムから一番近い、ライアン・エアーのフランクフルト・ハーン空港から、ミラノ(の近く、ベルガモ)やボローニャ(の近く、フォルリ)まで、往復5000円ほどで飛べてしまうこともあります。
実際乗ってみると、席は少し狭いですが、荷物はもちろん預かってくれますし、離陸及び着陸時も「今日、下手だな。」ということもあまりなく、かなり快適です。
2年前に初めて利用したときはチケットレス制で、古い待合札のようなものを渡され、搭乗する時にそれをスチュワーデスさんに渡すという、何とも不安にさせられるシステムでしたが、最近利用した際はきちんとしたチケットを受け取りました。
また、搭乗ゲートから飛行機まで、滑走路を自分で歩いていくこと、座席が全席自由席というところ(良い席は早い者勝ち〜)、またスチュワーデスさんがベルト着用に関して異常に神経過敏で、チェックが厳しいところ等がポイントですが、ライアン・エアーに慣れると、いつも無事に僕を運んでくれますし、サービスといったサービスはなくても、飛行機もこれくらいで充分なのでは、と思ってしまうほどです。
ヨーロッパにいらした際に、一度試してみても楽しいと思います。
ただ、この低価格には秘密が隠されていて、大体どの空港も都市から離れている、発着頻度の少ない小さな空港で、フライトスケジュールもあまり便利でないように組まれているのです。
幸いマンハイムからはフランクフルト・ハーン空港までの直行バスが出ているのですが、それでも朝8時半発のミラノ・ベルガモ行きのフライトに乗るためには、マンハイムを夜中3時半出発のバスに2時間乗り、ハーン空港で3時間待ち、ハーンからベルガモまでたった1時間のフライトの後、また次の目的地までのバスを2時間待つ・・といった具合に、かなり時間を使い、体力を消耗するようなスケジュールになっています。
これも他の航空会社との協定によるものなのでしょうか?
また、ドイツ人は車でどこへでも行ってしまいますから、車又はバスでイタリアへ!という手段もあります。
ただの旅行であれば少々の旅の苦労も楽しいですし、コンクールですと、こんなことに負けるか!と変に闘志も燃えるものですが、今回行く先で待つものは、僕のために催してくださるリサイタルです。
よく考えてみれば、こういった旅の困難を乗り越えることが本来の目的ではないので、時間的、体力的にも楽で、そして少しリッチな、ルフトハンザで「おとなしく」行くことに落ち着いたというわけです。
ただ、ルフトハンザさんには一度、僕の搭乗予定の飛行機を目の前にしながらも、「扉を閉めちゃいました」という理由で空港に置いていかれたことがありましたので、要注意です・・・。
それにしても、旅行に出ると予想もしていなかったハプニング、少々のトラブルは必ず起こるようになっている気がします。
さあ、今回はどんなハプニングが僕を待ち受けているのでしょうか。
藤井隆史
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